海外の工場で日本水準の品質を達成するためにはデータ・画像・継続が必要
日本では、商品の品質が高いのは当たり前。
例えば、スーパーに行けば野菜はほとんど同じ形。
たとえ髪の毛のような直接人体に害がないものであっても、異物混入なんて許されません。
一方で、海外ではそんなことはありません。
例えば、髪の毛の異物混入の例でいうと
避けて食べればいいじゃないか
という感覚が普通だったりします。
つまり、海外の工場で生産したものを日本に輸入して販売するようなビジネスをしている場合には、工場への品質指導が重要なミッションになるのです。
言語・文化・価値観の違う彼らに対して品質指導をする際には、どんなアクションをすればよいのでしょうか。
まずは、品質が悪かったことに対して、相手に理解してもらわなくてはなりません。
その際にどのように伝えれば効果的なのでしょうか。
海外の工場で生産した商品に不具合があったことを伝える方法:
データで見せる
言語が違っても、数字を使えば相手に情報を正確に伝えることができます。
そして、グラフを用いることで、
例えば、先の品質の例だと、
- 輸入後に発生した日本でのクレーム件数
- 輸入後に検品した結果の不良率、不良数、不良コスト
こういった数字を見せることで、品質が悪いことでどれだけの損害があったかを示すことで、改善に意識を向けてもらうことができます。
また、数字の単位はなるべく金額で示すと、より印象に残りやすくなります。
「100個不良があった」よりも、「10万ドル分の不良があった」と伝えるのです。
画像で見せる
不良品があったことを工場に伝える時には、画像(写真)を有効活用しましょう。
言語が異なる相手に対して、どこがどのように不良だったのか説明するために、視覚的な情報はとても役に立ちます。
この不良品の写真を撮る際、特に「破損」や「傷」や「異物」があったといった不良の場合には、定規と一緒に現物の写真を撮ってあげることで、そのサイズ感が伝わります。
また、定規だけでなく、ドットゲージのような「面積」を伝えるツールも有効です。
継続して伝える
そして、最も重要なのは、こちら(日本側)が求める品質を継続して伝え続けることです。
工場の窓口の担当者に一度伝えただけでは、製造現場は変わりません。
毎月・四半期毎・毎年、レビューを行い、品質改善を目標に掲げ続けるのです。
もちろん、要求するだけではへそを曲げられてしまう可能性もあります。
また、工場の窓口の人も、いつ異動や退職でいなくなってしまうかもわかりません。
そのため、互いに品質を向上するために課題となっていることは何なのか、継続して話し合うことが重要なのです。
例えば、
- 設備が古い
- 従業員(人財)が定着しない
- 従業員の教育が不十分である
このように、ソフト面・ハード面の両者において、改善できることがないのか議論を重ね、繰り返し日本で求められる品質を伝え続けるのです。
そして、伝える際にはデータや画像を用いてわかりやすくまとめましょう。
また、工場の中でも現場に展開しやすいようにポスター形式にまとめるなどすれば、従業員も場内で見てくれるかもしれません。
こういった活動は一見効率が悪く、効果が小さいように思えるかもしれません。
しかしながら、輸入する側の責任として
- 日本の品質要求を伝え続けること
- 少しでも改善に向かうようリードすること
こういった一歩一歩のアクションの継続が、将来の品質につながっていくのです。
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