【書評】2025年、人は「買い物」をしなくなる・・・?【レビュー】
コロナの影響から外出する機会が減り、反対に、Eコマース(ネット通販)の利用が増えているなあと実感しています。
これまでも、Eコマ市場は伸びてきていたわけですが、コロナの影響でこれまでEコマを利用していなかった人も便利さに気が付いているのではないかと思います。
こういった背景もあり、以前から気になっていた、「2025年、人は「買い物」をしなくなる」を読んでみました。
本日のお題:
「2025年、人は「買い物」をしなくなる」の内容
そもそも、人は買い物をしなくなるって、どういうことなのか?
「買い物をするために、お店に行く・帰るといった一連の流れ」がなくなると本書は主張しています。
お店に行くまでの時間、駐車する時間、レジを待つ時間など、めんどくさいと感じている人が多いからです。
現在、90%以上の人がスマホを持っている時代では、わざわざ店頭に行かなくても、スマホで1クリックすることで買い物が簡潔してしまいます。
また、自分自身でモノを所有しなくとも、サブスクやレンタルサービスで自分が必要な時にだけモノを借りるといったことも可能になりました。
さらに、メルカリなどのフリマアプリによって、一時的なものの所有(それも、中古とは言え非常に安い価格で!)が可能になりました。
こういった背景から、百貨店やスーパーといった小売店にとっては厳しい時代が来るだろう、と予想しています。
一方で、「ネットが普及してから今までの20年以上と、今後の2025年までの5年間で何が違うんだ」という声も上がりそうです。
しかしながら、2010年までのPCでしかインターネットを使用できない時代から、いつでもどこでもスマホでネットを利用できる時代になり、人はいつでもどこでもショッピングが可能になったのです。
生き残るお店
一方で、生き残るお店も当然存在します。
その場に行かないとできない「体験」をさせてくれる場所です。
たとえば、美容室・エステ・飲食店、こういったサービスを提供するお店は生き残っていくのでは、と予想しています。
ネットで話題のカレー屋さんも、そこに行って実際に食べないことにはカレーの味がわからないのです。
逆に、こういったリアルな体験を提供できるお店を作っていけば、生き残ることはできるということです。
読書後の感想
本書の主張は、「2025年、人は「買い物」をしなくなる」というよりは、「2025年頃までに、お店に行って買うという買い物のスタイルがどんどん減っていって、リアルな体験を提供できるお店が生き残っていく」ということ。
そして、「これからはモノを売るビジネスが、モノ+コトを提供できるようにしないと生き残れない」ということ。
本書の中で、「映画を観ながら、登場人物が来ている服をワンクリックで購入できる世の中がくる」といった、とてもリアルな例が挙げられていました。
なんか、本当に起こりえる感じです。
これまでは、商品の棚の数を争っていたのに対し、これからは、どうやってデジタル上で棚を作っていくか、という時代にシフトしたということですね。
これを踏まえて企業としてできることは、
- SNSで商品の画像が投稿された時には、自動的にタグ付けされるようにし、タグ付けされると、クリックしたときにすぐに通販サイトに飛べるようにする。 ⇒ ちょっとでも買いたいと思ったときに、すぐに買ってもらえるようにしておく。
- 通販サイトを他社よりも見やすくする。また、入力に必要な情報を限りなく絞る。(住所や電話番号の入力をしなくても、届けることができるようにする!など) ⇒ すぐに「戻る」をクリックされないように、購入を速やかに終わらせることができるようにしておく。
- 通販で購入されたものをこれまで以上に早く届ける。もしくは、希望時間を具体的に設定できるようにする(たとえば、10:15に届けるなど)。 ⇒ Eコマの不便さである「届くまでに時間がかかる」、「いつ届くかわからない」を解消する。
こういった取り組みが必要になってくるのだろうなあ、と思いました。
本書は、時代背景を丁寧に解説しうえで、今後の「買い物」の在り方の変化を予想しています。
今後、モノを売りながら生き残っていくために、「リアルな体験=実店舗」と「デジタルシェルフ(棚)」の役割を考えて、それぞれ意味を持たせたうえで商品の提供をしていかないといけないんだろうなあ、と思いました。